2018年5月6日
伊方町長 高門清彦 様
平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)
伊方原発3号機を稼働させずこのまま廃炉にすることを、国と四国電力に求めてください 貴職における、市民の生活と安全をまもる取り組みに敬意を表します。 福島第一原発事故から7年以上がたちましたが今なお約73,000人が避難生活を続けています。未だ福島原発事故の原因解明、収束のめどはたっておらず、政府による『原子力緊急事態宣言』は、現在も解除されていません。それでも政府は原発を再稼働させ、輸出をも推し進めています。 2017年3月、政府は帰還困難区域(年間50ミリ以上)以外の汚染されている避難区域を解除し、自主避難者への住宅支援をも打ち切りました。これは決して許されるものではありません。 南海トラフ大地震が30年以内に70%の確率で起こるとされており、伊方原発のそばには「中央構造線断層帯」もあり、危険な状況です。
(1)政府は高濃度放射能汚染地域への帰還政策をやめよ 国際放射線防護委員会(ICRP)と日本の法律では、一般公衆の被曝許容限度は自然放射線による被曝に加えて年間に1ミリシーベルトと決められていますが、福島県や周辺地域は、許容量が国際基準の20倍になっています。 白血病の労災が認められるのは、年5ミリシーベルト以上で被ばくし、作業開始から発症まで1年以上あることを基準としています。その約4倍もの線量の地域に(しかも、24時間、子どもも大人も関係なしに放射能にさらされる)帰還政策をとっており、許しがたいことです。
(2)政府は避難者支援を継続し、放射能による健康被害の補償を 3月5日、福島県の県民健康調査検討会が、小児甲状腺がんは疑い含め196人、手術で確定160人と発表しました。また周産期死亡が福島原発事故以降10か月後から増加、心筋梗塞、白血病をはじめあらゆる病が増えています。政府は被ばく者援護法のような健診、医療補償の施策を早急に行うべきです。
(3)12月13日広島高裁の差し止め決定に従い、伊方原発を廃炉に 広島高裁が火山の危険性により差し止めを命じています。伊方原発の発電機フィルターの対応可能な濃度が「約0.7グラム」に対し、想定される火山灰濃度は1立法メートル当たり「約3.1グラム」であり、最悪の場合、発電機のフィルターが目詰まりを起こし、原子炉が冷却できなくなる恐れがあります。 広島高裁は、抗告人らの住所地と伊方原発の距離について、広島市居住者:約100 km、松山市居住者:約60 kmは、伊方原発事故が起きれば、その生命身体に直接的かつ重大な被害を受けることが想定できる地域」と述べています。あきらかに30キロ圏内の居住者は被害を受けるということです。
(4)避難計画に実効性がないことは明白 伊方町など愛媛県下の複数の地すべり危険地帯では、道路が寸断すれば、住民は避難できず孤立し、被ばくをしてしまいます。伊方町職員が、308人の要支援者への対応はこれからと回答されました。多くの人が伊方原発以西に居住されており、事故が起これば、孤立しかねない状況です。
(5)使用済み核燃料の保管先も決められない、核のゴミを子孫に残すことは許されない 伊方原発1号機の使用済み燃料を3号機に移すだけでも、管理容量に占める割合は80%を超えます。2号機の廃炉も決まったいまでは猶予はありません。四電は敷地内でキャスク貯蔵を検討しています。キャスクで保管することは使用済み核燃料をさらに多く保管する可能性があります。子孫に対し、これ以上核のゴミを増やすことをやめましょう。
(6)自治体は住民の命と生活を守る責務を果たすべき 兵庫県の篠山市(高浜原発からおよそ50キロ圏)は、原子力防災ハンドブックを全戸配布し、安定ヨウ素剤について①希望者への現物支給 ②避難集積地での配布 ③避難ルートでの配布と3重の体制をとっています。大飯原発、高浜原発30キロ圏では安定ヨウ素剤の事前配布をすすめる自治体が増えています。国の方針を待つのではなく自治体が独自に原子力防災の施策を立てていくことの先行的な取り組みです。
(7)事前了解の権利を主張し、原発の稼働に反対を! 東海第二原発の再稼働を巡り、30キロ圏の水戸など6市村と日本原子力発電は3月29日、原電が各自治体に同意に当たる事前了解を得ることを明記した新協定を結びました。対象を30キロ圏にも拡大するのは全国初となります。伊方原発の30キロ圏内の自治体も事前了解を得る権利を主張し、原発の再稼働に反対の主張をしてください。 以上をふまえ5月21日に要請と質問にお答えください。よろしくお願いいたします。
要 請
1、貴自治体は国と四国電力に伊方原発の3号機の廃炉を求めてください。 2、 貴自治体より、規制委員会と政府に、規制委員会の新基準の基準地震動について白紙にし、地震学者を入れた審査をするように求めてください。 3、政府の福島県への20 mSvへの帰還政策に反対し、1mSvの基準を守るように要請してください。もしこのままでいくと、伊方原発で事故が起こった後、帰還は20mSvでもよいとされ、被ばくを住民に強要することになりかねません。 4、政府の避難計画の指針の見直し再検討を政府に要請してください。 ①F1事故と同じだけの放射線が放出された最悪の事態を想定し避難計画を立てること。 ②各自治体は自宅待機ではなく即時の避難する方針に変えること。 5、貴自治体でも安定ヨウ素剤を篠山市のように配布をしてください。 6、現在の政府の基本エネルギー政策は、原子力発電の温存計画と言わざるを得ません。原発ゼロ基本法案にある再生可能エネルギーへの転換を進めること、原発立地自治体にも「雇用創出や地域経済の発展」に措置を講ずるように政府に要請してください。 7、使用済み核燃料の最終処分までの方針が示されないなら、使用済み核燃料を増やす四国電力のいかなる行為にも反対してください。四国電力に使用済み核燃料の処分方法について説明を求めてください。
質 問
1、広島地裁で指摘された火砕流のことをどう考えますか?火山灰を防ぐフィルターが機能しない状況になると原子炉が冷却できないおそれがあります。 2、政府は福島県民に対して、許容量を国際基準の20倍に引き上げて帰還を強要しています。将来、原発事故が起こっても、この政策がすべての自治体に適用されると思われます。貴自治体はこの20倍の許容量を受け入れますか?受け入れても良いとしたら、その根拠をお答えください。 3、使用済み核燃料の処分方法は頓挫しており、今後も困難を極めると思われます。原発の稼働をもし容認するとしたら、住民を危険にさらし、将来の世代に大きな負担を強いる使用済み核燃料を増やすことになります。貴自治体は使用済み核燃料の処分についてどのように考えておられますか? 4、貴自治体はどのように原子力防災についてどのように市民に周知をはかる方針ですか、前回要請からのとりくみを教えてください。 5、安定ヨウ素剤の事前配布についてどのような方針をお持ちでしょうか。 6、県作成のDVDへの住民の反響と今後の課題を教えてください。 7、前々回、「原発事故災害時にはバスが来ない場合に備えて町職員に大型免許を取得するようにしている。町が所有するバスは要介護者に割り振る」、前回「バスでの避難 要支援者の一覧を作成した。いち早く逃げるため個別計画を作成。308人。逃げる時間のシミュレーションはしていない。」との回答、「佐多岬半島には孤立するであろう人たちは5,000人」と新聞にあったが、上記以外の人は、放射能放出前から逃げることはできますか?できるとしたら、根拠を具体的に示してください。
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